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【眼鏡士が助言】「掛け外し派」vs「掛けっぱなし派」で正解は違う?あなたのスタイルに合う最強の眼鏡選び

皆さま、こんにちは。学芸大学の眼鏡専門店、ライブラの田中です。

眼鏡を選ぶとき、皆さまはどのようなポイントを重視されますか?

「顔に似合うデザイン」「流行のブランド」「軽さ」……どれも素晴らしい基準です。しかし、眼鏡士の視点からもう一つ、どうしても確認しておきたい大切な質問があります。

それは、「一日のうち、眼鏡を『掛け外し』する頻度はどれくらいですか?」 ということです。

実は、眼鏡を朝から晩までずっと掛けている「掛けっぱなし派」と、老眼鏡や運転用として必要な時だけ掛ける「掛け外し派」とでは、おすすめすべきフレームの構造が全く異なります。この「使い方」と「フレームの相性」を間違えてしまうと、せっかくの素敵な眼鏡がすぐに壊れてしまったり、掛け心地が悪くなったりする原因になります。

今回は、あなたの「眼鏡の使い方」に合わせた、失敗しないフレーム選びの極意を詳しく解説いたします。


「掛け外し」が多い人と少ない人、選ぶべきフレームはここまで違う!寿命を延ばす選び方


⚠️ 1. 掛け外しが多いなら要注意!「フチなし眼鏡」が危険な理由

まず、老眼鏡(リーディンググラス)やデスクワーク用など、一日に何度も眼鏡を掛け外しする方へ。

デザインとして非常に人気のある**「フチなし眼鏡(ツーポイントフレーム)」**ですが、掛け外しが多い方には、プロとしてあまりおすすめできません。

フチなし眼鏡は、レンズに直接穴を開けて、ネジで金具を固定しています。非常に素顔に近く、上品で知的な印象を与える素晴らしいフレームですが、構造上とてもデリケートです。

眼鏡を外すとき、私たちは無意識に片手で外したり、少し斜めに引っ張ったりしてしまいます。この「広げる力」が加わると、フチなし眼鏡の場合、レンズに開けた穴の部分に直接負荷が集中してしまいます。

掛け外しを繰り返すうちに、ネジが緩んでグラグラになったり、最悪の場合、レンズの穴の部分からヒビが入って割れてしまったりするリスクが非常に高いのです。

頻繁に掛け外しをする方は、レンズ全体を金属やプラスチックの枠でしっかりと守っている「フルリム」や「ナイロール(上半分がフチあり)」タイプを選ぶのが、眼鏡を長持ちさせる鉄則です。

ただし、近年ではねじ穴に負担がかからないデザインも登場しておりますので、一部例外もあります。


🦵 2. 頻繁な着脱に耐える!「弾力性」があなたの眼鏡を守る

では、掛け外しが多い方はどのようなフレームを選べば良いのでしょうか?

キーワードは、テンプル(つる)の**「弾力性(バネ性)」**です。

眼鏡を外す瞬間、フレームには「外側に広がる力」が必ずかかります。硬すぎる素材のフレームだと、この力が逃げ場を失い、丁番(ヒンジ)部分のネジを緩めたり、フレーム自体を歪ませたりしてしまいます。

そこで味方になるのが、**「β(ベータ)チタン」や「形状記憶合金」**など、しなやかな弾力を持った素材です。

これらの素材は、外側に引っ張られる力を、柳の枝のようにしなって受け流してくれます(吸収してくれます)。テンプル自体がサスペンションの役割を果たすため、フレームの主要部分やレンズに負担がかかりにくく、型崩れを防ぐことができるのです。

「私は一日に何度も老眼鏡を出し入れする」という方は、ぜひお店でテンプルを少し広げてみて、柔らかく戻る感触があるかを確認してみてください。その「しなり」が、眼鏡の寿命を劇的に延ばしてくれます。


🕊️ 3. 掛けっぱなし派の特権?比較的「自由」に選べるデザイン

一方で、近視や遠近両用などで、朝起きてから寝るまでずっと眼鏡を掛けている「掛けっぱなし派」の皆さま。

実は、フレーム選びの自由度は皆さまの方が高いと言えます。

一度掛けてしまえば、顔の上で固定されたまま動かさないため、フレームにかかる物理的な負荷は「掛け外し派」に比べて格段に少ないからです。

ですので、先ほど注意点として挙げた**「フチなし眼鏡」や、デザイン重視の「繊細なクラシックフレーム」**を選んでも、破損のリスクはそれほど高くありません。

掛けっぱなし派の方が優先すべきは、耐久性よりも**「重さ」と「当たりの柔らかさ」**です。

長時間肌に触れ続けるため、鼻パッドや耳への当たりが優しいもの、そして全体の重量バランスが良いものを選んでください。構造的な制限に縛られず、好きなデザインを自由に楽しめるのが「掛けっぱなし派」の特権とも言えます。


🛠️ 4. プロの技「フィッティング」も、使い方で変わります

最後に、私たち一級眼鏡士が行う「フィッティング(調整)」も、使い方によって微調整していることをお伝えします。

  • 掛け外しが多い方へ:

    スムーズに着脱できるよう、耳の後ろの曲げ具合を少し緩やかにしたり、広げても戻りやすいよう抱え込みの強さを調整したりします。「外すときのストレス」を減らす調整を行います。

  • 掛けっぱなしの方へ:

    一日中絶対にズレないよう、頭部の形に沿ってピタッと吸い付くような調整を行います。また、長時間掛けても痛くならないよう、接地面の圧力を分散させることに注力します。


🤝 最後に:あなたの「無意識の動作」を教えてください

眼鏡は、単なる視力矯正器具ではなく、毎日使う「道具」です。

道具である以上、使い手に合った頑丈さや構造が必要です。

ご来店の際は、ぜひ「普段、眼鏡をどう扱っているか」を遠慮なくお話しください。

「仕事中にパッと外して書類を見ることが多い」

「一度掛けたら、お風呂まで外さない」

その一言があれば、私たちは数あるフレームの中から、あなたの生活スタイルに耐えうる、そして快適に寄り添える「ベストな一本」を選び出すことができます。

「掛け外し」の頻度を意識した賢いフレーム選びで、お気に入りの眼鏡と長く付き合っていきましょう。