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👓 【眼鏡士が解説】「眼鏡で視力が下がる」は本当?目の健康を守るための正しい知識と向き合い方
みなさま、こんにちは。
東横線沿い、目黒区学芸大学駅のメガネ専門店、ライブラの田中です。
お客様や患者様から最も多く受けるご質問の一つに、「眼鏡をかけ続けると、さらに視力が下がってしまうのでは?」という不安の声があります。
「一度眼鏡に頼ると、目が甘えてしまう気がする」という心理的な抵抗感は、実は多くの方が抱いていらっしゃることです。
しかし、結論から申し上げますと、「適切な眼鏡を正しくかけること」が原因で視力が低下することはありません。
むしろ逆のことが言えるのです。
今回は、この視力を巡る誤解を解き明かしながら、眼鏡士として、納得のいく「目の仕組み」について詳しくお話しさせていただきます。
🔍 1. 水晶体のしなやかさと「ピント調節」のメカニズム
まず、眼鏡をかけると視力が下がるように感じる「感覚」の正体について、目のレンズである「水晶体(すいしょうたい)」の働きからご説明します。
私たちの目の中には、カメラのレンズに相当する水晶体という組織があります。遠くを見るときは薄くなり、近くを見るときは周囲の筋肉(毛様体筋)が緊張して厚くなることでピントを合わせます。
眼鏡を使い始めると、確かに「以前よりも裸眼のときに見えにくくなった」と感じることがあります。これは、目が悪くなったのではなく、脳と目が「鮮明に見える心地よさ」を覚えたからです。
これまで一生懸命に水晶体を膨らませ、筋肉を過度に緊張させて無理やりピントを合わせていた状態から、眼鏡によって正しく網膜に光が届くようになると、目の筋肉はようやくリラックスすることができます。
この「リラックスした状態」を知った後で眼鏡を外すと、以前の「無理をしていた状態」とのギャップを強く感じるため、視力が下がったように錯覚してしまうのです。
📐 2. 視力低下の本質は「眼軸長」の伸びにあり
では、なぜ眼鏡をかけている間にも、実際に度数が進んでしまう人がいるのでしょうか。その大きな原因は、眼鏡の有無ではなく、「眼軸長(がんじくちょう)」の変化にあります。
「眼軸長」とは、目の表面(角膜)から奥(網膜)までの奥行きの長さのことです。
近視の多くは、この眼軸長が標準よりも長くなることで、網膜の手前でピントが合ってしまう「軸性近視」という状態です。
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成長による変化: 20歳前後までは身体が大きくなるのと同様に眼球も成長し、眼軸長が伸びやすいため、眼鏡をかけていてもいなくても近視は進行します。
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環境による変化: 現代のスマホやPC作業のように、近くを長時間見続けると、目をもっと近くに合わせようと適応させ、眼軸長を伸ばすスイッチが入ってしまうことがわかっています。
つまり、視力が下がるのは「眼鏡が目を悪くしている」のではなく、生活環境や成長過程において「眼球の形が変化している」ことが本質的な理由なのです。
😵 3. 「乱視」を放置するリスク:未矯正が招く負のスパイラル
眼鏡をかけるのを我慢することの弊害として、特に注意が必要なのが「乱視(らんし)」の放置です。
乱視とは、角膜や水晶体の歪みによって、光が一点に集まらず、像がダブったりぼやけたりする状態です。乱視を矯正せずに過ごしていると、脳はなんとかピントを合わせようとして、常に水晶体を細かく動かし続ける過酷な「微調整」を強いることになります。
また、乱視を放置した結果として、感覚性融像の乱れにより「眼位異常」や「両眼視異常」につながるケースも見受けられます。
この終わりのないピント調節は、激しい眼精疲労を引き起こします。筋肉が疲弊しきると、ピントを合わせる力が一時的に低下し、視力がさらにガクンと落ちたように感じたり、回復しにくい深刻な疲れ目を招いたりします。
乱視に関しては、「我慢せずに眼鏡で正しく補正してあげること」こそが、目の筋肉を保護し、視力の安定を守る近道となります。
🛠️ 4. 「適切な度数」が目を守る。眼鏡士がこだわる検査の質
眼鏡は、単に「見えるようにする道具」ではなく、「目の筋肉に余計な仕事をさせないためのサポーター」です。
しかし、自分の目に合っていない度数の眼鏡、例えば遠くが過剰によく見える「過矯正(かきょうせい)」の眼鏡をかけていると、近くを見る際、目は本来必要以上のパワーを使って水晶体を膨らませなければなりません。これが自律神経を乱し、目を疲れさせ、結果として視力の質を下げてしまうことがあります。
私たち眼鏡士が、検査に時間をかけ、お客様の生活習慣(デスクワークが多いのか、運転が多いのか等)を詳しく伺うのは、この「度数のミスマッチ」を防ぐためです。あなたのライフスタイルに合わせた最適な度数設定こそが、目を甘えさせるのではなく、健やかに保つための鍵となります。
🤝 最後に:眼鏡はあなたの「可能性」を広げるパートナーです
眼鏡をかけることは、目に「頼る」ことではなく、自分の持っている力を最大限に引き出すための「環境を整える」ことです。
「眼鏡をかけるのが怖い」「一度かけたら最後」と不安に思う必要はありません。大切なのは、医学的・光学的な根拠に基づいたプロの検査を受け、今の自分に最も心地よい度数を知ることです。
学芸大学のライブラでは、眼鏡士としての確かな技術で、あなたの目の健康を全力で守ります。
もし、今の見え方に少しでも違和感や不安を感じていらしたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。クリアな視界がもたらす「安心感」を、私たちが心を込めてお届けいたします。