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✨ 遠視の真実:なぜ疲れるのか?隠れた目の頑張りと正しい対処法を徹底解説

 

皆さま、こんにちは。ライブラの田中です。

 

「遠視(えんし)」という言葉を聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?多くの方は、「遠くがよく見える目のこと」と思われるかもしれません。確かにそれは間違いではありませんが、遠視の本当の姿は、**「常に見るために頑張り続けている、疲れやすい目」**なのです。

近視は、はっきりとした見えにくさとして自覚されやすいのに対し、遠視は一見するとよく見えているため、その裏でどれほどの負担が目に強いられているか、なかなか気づかれません。

この記事では、遠視のメカニズムから、その具体的な症状、そして快適な視生活を送るための正しい対処法まで、一級眼鏡士の視点から詳しく、丁寧にご説明します。


🔬 遠視の原因とメカニズム:ピントが網膜の奥にズレる仕組み

まず、遠視が起こる原因と、その基本的なメカニズムについて見ていきましょう。

私たちの目に入った光は、角膜と水晶体という二つのレンズを通り、目の奥にある「網膜」というスクリーンで焦点を結ぶことで、私たちは物をはっきりと見ています。

遠視を引き起こす二つの主な原因

遠視は、以下の二つの原因のどちらか、または両方によって引き起こされます。

  1. 眼軸長(がんじくちょう)の短さ:

    眼軸長とは、角膜の表面から網膜までの目の奥行きの長さのことです。遠視の場合、この眼軸長が、ピントを合わせるのに理想的な長さよりも短いことが主な原因となります。例えるなら、カメラのフィルムが前にずれてしまっている状態です。その結果、目に入った光は、網膜の手前ではなく、網膜のさらに奥で焦点を結んでしまうのです。

  2. 角膜や水晶体の屈折力の弱さ:

    光を曲げる力(屈折力)が、角膜や水晶体で弱すぎる場合も遠視となります。これも光が網膜より奥で焦点を結ぶ原因となります。

「調節」という頑張り

網膜より奥にピントがずれていても、私たちはある程度はっきりと物を見ることができます。それは、目の中の水晶体が自ら厚みを増し、レンズの度数を変えてピントの位置を前に引き寄せるという働きをしているからです。この働きを**「調節(ちょうせつ)」と呼びます。遠視の目は、遠くを見るときでさえ、この調節力を無意識のうちに使い続けている**という点が、近視や正視(正常な目)との決定的な違いです。


😫 遠視の代表的な症状:見えにくさより「疲れ」が中心

遠視の症状で最も特徴的なのは、「見えにくい」ことよりも、むしろ**「疲れ」や「不調」**が中心になることです。特に年齢が若く、調節力に余裕があるうちは、見えにくさを自覚しないことがほとんどです。

1. 眼精疲労(目の疲れ)

遠視の人が遠くや近くを見る際、常に調節力を働かせているため、ピント合わせを担う目の筋肉(毛様体筋)が絶えず緊張した状態が続きます。

  • 目の重さ、痛み、しょぼしょぼ感

  • 夕方になると特に症状が悪化する

  • まぶしさ、涙目

2. 全身の不調

目の筋肉の過緊張は、自律神経にも影響を及ぼし、全身の不調につながることがあります。

  • 肩こり、首の痛み

  • 慢性的な頭痛(特に目の奥や額の痛み)

  • 吐き気、めまい

3. 見え方の問題(特に近方)

年齢を重ねて調節力が衰えてきたり、遠視の度数が強すぎたりする場合、徐々に見え方の問題も出てきます。

  • 読書やスマートフォンの文字が、長時間見ているとぼやける

  • 集中力が続かない(特に学童期のお子さま)

  • 目を細めて見る癖がある

4. 小児の遠視と斜視

注意が必要なのは、お子さまの遠視です。強い遠視があるのに適切な眼鏡で矯正しないままでいると、目を内側に寄せすぎることでピントを合わせようとし、**内斜視(目が内側に寄ってしまう状態)**を引き起こすリスクが高まります。お子さまの遠視は早期発見と治療が非常に重要です。


✅ 遠視への対処法:目の頑張りを眼鏡でサポート

遠視が引き起こす疲れや不調を改善し、快適な視生活を送るためには、適切な対処が不可欠です。

1. 眼科での精密検査

まずは眼科で精密な検査を受け、遠視の度数、眼の健康状態、そしてご自身の調節力がどれだけ残っているかを把握することが最優先です。特に、調節力を休ませた状態(眼の麻痺)で正確な遠視の度数を測る**「調節麻痺点眼検査」**が必要となる場合もあります。

2. 適切な眼鏡による矯正

遠視の矯正は、網膜の奥にずれているピントを網膜上に引き戻すために、**凸レンズ(プラスレンズ)を使用します。この眼鏡の役割は、「目自身の調節力を休ませてあげること」**です。

  • 若年層・学童期: 遠視の度数によっては、常時装用することで目の発達を助け、斜視や弱視の予防にもつながります。

  • 成人: 疲れが強い場合は、遠くが見えていても眼鏡を装用することで、日中の目の筋肉の緊張を緩和し、眼精疲労を劇的に改善できます。

3. 生活環境の見直し

眼鏡による矯正と合わせて、日常生活での工夫も大切です。

  • 十分な休憩: 1時間集中して近くを見た後は、数分間遠くを見て目を休ませましょう(20-20-20ルールなど)。

  • 照明の確保: 特に手元で作業をする際は、適切な明るさを確保し、目への負担を減らしましょう。


🤝 最後に:遠視と上手に付き合うために

遠視は、病気ではありませんが、放置すると慢性的な目の疲れや全身の不調、そしてお子さまの目の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。

「よく見えるから大丈夫」と過信せず、もし疲れや頭痛といったサインがあれば、「自分の目は頑張りすぎているのかもしれない」と考えてみてください。

適切な眼鏡によるサポートは、目の負担を劇的に減らし、皆さまの毎日をより快適にしてくれます。ご自身の目の健康について、気になることがございましたら、いつでもライブラにご相談ください。